HROを行う時に観測に使っているPCの時計が正確でないと、
記録されたエコーの時刻を知ることができません。
これは、他の観測者とデータをてらし合わせたり、同じエコーかどうかの判断する時に問題となります。
特にPCの時計は10数秒/日もずれるものも多くあり、全く信用することができません。
そこで、基準となる正確な時計を用意し、定期的にその時計に合わせてPCの時計を修正する必要が有ります。
手近に利用できる正確な時計(信号)としては次の物が考えられる。
正確な時刻を扱うには、Windowsには大きな問題があります。
Windowsの時刻の設定や取得をおこなうAPI(SetLocalTime,GetLocalTimeなど)
には大きな誤差が存在します。
例えば、「0時0分0秒」に時刻を設定したにもかかわらず、
その直後に時刻を取得すると「23時59分59秒」と帰って来ます。
このことから、Windowsで正確な時間を扱うには無理があります。 このWiondwsの問題部分は対処のしようが無いので、Windowsの誤差内でできるだけ 正確に時刻合わせをおこなうとお考え下さい。
インターネット上にある正確な時計を持ったサーバ(NTPサーバまたはタイムサーバ)を使って
自分の時計を合わせる方法です。
特別なハードの必要もなく、桜時計などの
NTPクライアントソフトと
インターネットに接続できる環境があれば利用できるので、もっともお手軽な方法です。
このページを見ているPCなら、この方法で時刻合わせが可能です。
実際に桜時計を使って
2年以上、観測を続けていますが特に問題は発生していません。
欠点は、常時またはそれに近い状態でインターネットが利用できなければ使えませんので、
ネットワーク環境が無い所での利用は難しいでしょう。
しかし、複数台のPCで観測している場合であれば、別の方法で時計をあわせた1台をNTPサーバに
することで、他のマシンは桜時計を使い簡単に時計合わせすることが可能です。
また、YAMAHAのルータのように
ダイアルアップ時にインターネット上のNTPサーバに時刻を問い合わせ、
ローカルなPCに対してNTPサーバとして機能する製品もありますので、
ダイアルアップ接続の環境でも、それらを使う事で対応が可能です。
カーナビでおなじみのGPSですが、GPSも正確な時計を持っています。
そこで、GPSユニットから時刻情報を読み取ってPCの時計を修正する方法です。
1ミリ秒以内の誤差で合わせられるなど、高精度で時計合わせが可能です。
GPSユニットは時刻精度が高い物は高価になり、安価なものでは時刻情報が出力されなかったり、
時計と同期してなかったりします。
手頃な物としてJupiterという製品がありますが、
2万円ほどします、インターフェースは自作するか別途購入する必要が有ります。
ソフトはSatkという専用のソフトが公開されています。
このSatkは星食観測で利用する事を目的に作られており、
もっとも高精度でPCの時計を合わることができます。
しかし、5秒ごとに時刻合わせをしたり、多くの割り込みを発生するなどPCへの負荷が大きく、
HROFFTも高負荷プログラムなので、
能力の低い古いPCの場合、同時に動作させる事ができない場合が有ります。
HROFFTの時間分解能が1秒ですので、Satkはオーバースペックといえますが、
もっとも時刻精度が高い方法でもあります。
HROで使うのであれば、現在(2003年4月)もっともお薦めする方法です。
正確な時刻情報が含まれている標準電波が
「40.000kHz 福島県田村郡都路村おおたかどや山」
と
「60.000kHz 佐賀県佐賀郡富士町はがね山」
から送信されています。日本標準時グループ
また、秋月電子通商から
PCとの接続が可能な電波時計キットが
販売されています。
電波時計のページ(トライステート)には
PCの時計を合わせるソフトがいくつか公開されています。
HROで利用するのでしたら、
Clock Keeperを
お薦めします。
HROでの利用を考え、できるだけ軽く動作するように作成しています。
また、時計を修正した時の補正量や
電波時計キット
に付いている温度センサーの情報もログファイルに保存する事ができます。
受信機の温度変化による受信周波数の変化などを調べるのに役に立つと思います。
ちゃんと電波が受信できていれば、0.1秒程度の誤差で時計合わせが可能です。
参考:電波時計+Clock Keeperの時刻精度の測定結果
NTP、GPS、電波時計の他に、
お問い合わせは:山本道成までどうぞ。